全国コミュニティ財団協会による助成金の不適切な扱いに関して

2024年4月10日

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 全国各地のコミュニティ財団で組織する一般社団法人全国コミュニティ財団協会(以下、CFJ)は、日本にコミュニティ財団を増やし、地域内での寄付と資金循環を広めようと精力的に活動してこられました。

 そのCFJが、2016年度から3年間、公益財団法人日本財団から受けた助成に関して、実態のない経費が計上されたなどとして、多額の返金要求がなされたことが、昨年10月、日本財団のウェブサイトに掲載されました

 CFJの役員には全国のNPO支援組織、コミュニティ財団の関係者も多く、NPOの信頼性に関わる重大な事案です。CFJは本件に関して、ウェブサイトに説明文を数回掲載してこられましたが、まだ起きた事実の解明の部分が十分とは言えません。(以下、参照)

 信頼を取り戻すには、事実関係となぜそれが生じたのか説明をした上で、具体的な再発防止策を示すことが重要になります。今回のことに関して、日本のNPOセクター全体に影響することと考えた有志は4月9日、CFJに公開要望書を発し、明らかにしてほしいことを示しています。CFJは3月に第三者委員会を設置していますので、今後、具体的な説明がなされ、信頼性回復への取組みが進むことを期待したいと思います。

 同時に今回のことは、NPOが大きな助成金を活用する際に何に留意する必要があるか、無理のある事業や不適切な会計を防ぐために、理事や監事はどのようにチェック機能を働かせる必要があるかなど、教訓とすべきことが含まれています。ガバナンスに関する規程だけを整備しても、その運用がなされなければ不祥事は起きえます。改めて組織の意思決定の仕組みなどを見直し、適切な組織運営に取り組むことも重要なことと思います。

 なお、CFJに関しては、当団体の代表理事である横田能洋が、この事案が発生した時期に理事に就任していました。そのことに関して、以下のとおり説明と謝罪文を掲載します。


行番号著者名発信日題名(リンク付き)
1CFJ2023年11月17日日本財団助成事業にかかる会計処理、並びに資金の一部返還についての見解(2023年末~2024年始に取り下げ)
22024年1月6日頃日本財団からの助成事業の件について
32024年2月19日<ご報告>日本財団助成事業における不適切な会計処理について
42024年3月1日「2016〜2018年度の理事」からのお詫び
52024年3月18日日本財団助成事業における不適切な会計処理に伴う助成金の一部返還の内容及び現在実施している対応状況について
62024年3月24日第三者委員会の設置について
全国コミュニティ財団協会への関わりと、元理事としての謝罪

2024年4月5日
横田 能洋
(認定NPO法人 茨城NPOセンターコモンズ 代表理事)

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 私、横田能洋は、今回の事案が発生した2016年度から2017年度にかけて、同協会の理事に就任していました。まだ同協会が発足して間もない時期で、全国各地で生まれてきていたコミュニティ財団や市民ファンドが同協会の会員になるよう募集を手伝ってほしいということで理事に就任し、東日本の複数の団体による協会への加盟手続きに関わりました。

 この当時、私は茨城NPOセンター・コモンズによる災害復興支援に注力していたこともあり、同協会の活動にあまり関わることができませんでした。オンラインで行われた理事の会合に数回参加したことはありますが、理事会の正式な招集通知、議案書、議事録を目にした記憶はありません。

 理事に就任しておきながら、会議や事業の検討、チェック過程に主体的に関わらなかったために、今回問題になっている日本財団の助成事業の申請前の検討にも、また運営や予算執行の状況について確認することも、意見することもできませんでした。

 私は、理事として事業の実施状況を把握したり、意思決定プロセスに関われない状況では責任を負えないと感じ、2017年度に辞任を申し出ました。

 当時の協会は、全国にコミュニティ財団の輪を広げようと精力的に事業規模拡大に動いていました。役員が全国各地にいるため、オンラインでの打ち合わせが多く、参集して会議することは少なかったと思います。会議があった場合でも、私が参加できなかった面も多々あります。

 形式的な会議運営に労力を割くよりは、少数の役員で事業計画を起案し、助成申請したり、事業を割り振った方が効率的と判断して、そのように運営していると感じていました。正式な理事会を開催し、そこで事業計画などを審議するプロセスがなかったために(私が把握していなかっただけの可能性もあります)、事業に無理がないか、リスクはないかを確認する、という理事会本来の事業遂行におけるチェック機能が働いていなかったことも、今回の事案の背景にあると思います。

 私は、理事として、協会が意思決定のプロセスを大事にすべきと感じていながら、そのことを当時の代表や中核にいた理事の人たちに伝えることができませんでした。自分が事業に深く関われないのに口を出すことを躊躇したためです。

 今思えば、理事の立場にあった自分は、正に今回の事案が起きていた時に、すべきこと、できることを怠ったのだと深く反省します。精力的に動いている理事に委ねて、自分は依頼されたことだけをするのではなく、理事を引き受けた以上は、特に大きな助成申請の際には内容に無理がないか確認したり、予算の執行状況の確認をするという注意義務を果たすべきでした。

 その意味で、私も今回発覚した事案を防げなかった協会にいた当事者であり、今回のことで同協会会員だけでなく、広くNPO関係者、支援者の皆様の信頼を裏切ることになってしまったことにお詫び申し上げます。このようことから、私は今回の事案に関わる当事者であり、協会に対する要望書に名を連ねる資格はないのかもしれませんが、今回の事案を明らかにし、信頼の回復と再発防止のために活動したいと思っています。

 公開要望書にあるように、公益財団法人日本非営利組織評価センター(以下、JCNE)と一般社団法人全国コミュニティ財団協会(以下、CFJ)は、複数の役員が重複していました。私は現在このJCNEで評議員を務めています。JCNEはNPOの組織運営の評価基準の普及啓発を行うなどNPOの信頼性向上を目的とする組織です。

 ですので、今回のような事案については、2023年10月に本事案が発覚した後、JCNEとしてもCFJに関係している役員から聞き取りをしたり、CFJに対して事実の解明と情報の公開を促す必要があったと思いますが、それらは十分になされてきていないと思います。私は評議員としてJCNEに対してもこれらの働きかけができなかったことを謝罪します。

 CFJで今回の事案に関わっていた役員は、JCNEの評価や信頼性向上に関する事業に関わってきたので、そのことにつてJCNE内でも総括が行われる必要があると思いますし、自分はJCNEの中でも信頼性回復に必要なことを行っていきます。そして、CFJの第三者委員会の報告とJCNEの検討総括を経て、しかるべきときにJCNEの評議員を辞するつもりです。

当団体と、全国コミュニティ財団協会との関わり

 今回問題となっている、日本財団から全国コミュニティ財団協会への助成金を原資とした研修事業には、いばらき未来基金事務局を運営している当団体の常務理事・事務局長の大野覚(当時は事務局次長)、及び理事の江﨑礼子(現在は退任)も参加しておりました。京都などで研修が数回開催され、旅費交通費などはCFJから負担してもらいました。

 研修とは別に、いわゆるコレクティブ・インパクトを広げるモデル事業をCFJが公募していましたが(恐らく今回の日本財団の助成金が原資)、それにはいばらき未来基金事務局(運営はコモンズ)は申請しませんでした。

 今回問題となった案件とは別ですが、遺贈寄付を全国的に推進する事業を、公益財団法人トヨタ財団からの助成を受けてCFJが実施しており、茨城で研修などを実施するために事業を受託し、実施しました。

 なお、 2017年に横田が理事を辞任した直後も、全国のコミュニティ財団に関する様々な情報を得るため、会員として継続していました。

 ただし、毎年の会費負担が高額となったため、当団体の財政状況を考慮し、2019 年11月30日付で退会届を提出しております。

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