NPOとは?

NPOは地域を暮らしやすくするための「手段」

 NPOは単なる事業体ではありません。市民の力で地域を変えていくための、ひとつの手段です。
 そもそもNPOは何のためにあるのでしょうか?個人、家族、地域、企業などにとって、どういう意味があるのでしょうか?

NPOに関するいくつかの誤解

 1998年(平成10年)にNPO法(正式名称:特定非営利活動促進法)が施行されてから13年以上経ちますが、いまだにいくつかの誤解があります。
 以下の4つについて、YESかNOか、考えてみてください。

  • Q1. 公益性があると決めるのは行政だけである
  • Q2. 日本のNPOの歴史は浅い
  • Q3. 民間とは、営利組織とボランティアのこと
  • Q4. 有償な活動は全て営利活動である
『公益』の考え方が大きく変化している

 上の4つの答えは全てNOです。NPO法が施行される前は、公益とは行政が必要があると認めたもの、つまり「官益」でした。社団法人や財団法人といった公益法人を設立しようとする際、行政の裁量で設立許可が下りました。許可を出すので、当然行政に権限と責任があり、指導・監督を厳格に行っていました。市民の役割は、行政への要望が中心でした。
 ところが、NPO法が成立してから公益の考え方ががらりと変わりました。NPO法人設立の際、行政の裁量による判断はありません。①特定の個人や団体のために活動していない、②組織が開かれている、この2つを満たせば公益という判断になります。つまり行政が決めるのではなく、市民の責任で公益活動を行うという時代になりました。市民一人一人が、地域にどんなNPOがあって、どれくらい役立っているかをチェックしたり応援したりする、という前提でNPO法が成り立っています。
 しかし、県民の多くが茨城に現在いくつのNPOがあるのか知らないし、その活動に関わっている方も一部だと思います。これは制度が13年経っても、しっかり機能していないということです。

NPOの原形はお寺

p-otera.jpg 2つ目の「日本のNPOの歴史は浅い」が間違いという点についてですが、実は日本には昔から民間の非営利組織があります。それが『お寺』です。お寺では仏教普及の宗教行為だけではなく、福祉、教育、医療などの活動が市民の浄財、つまり寄付によって行われていました。著名な経済学者のP.F.ドラッカーも「最古の非営利組織(NPO)は日本にある。日本の寺は自治的だった。もちろん非営利だった。」と著書で述べています。
P.F.ドラッカー(上田惇生訳)(2007)『非営利組織の経営』ダイアモンド社
 江戸時代まで、お寺は公共サービスの多くを担っていました。ところが明治政府が出来て、教育などの公共サービスを行政が税金を投入して行うようになりました。そして民間は会社を設立して、どんどん収益を上げて税金を納めてほしいといった方向に変わり、それまでお寺が担ってきた民間非営利活動が弱くなり、公共的なことは行政が行う時代になりました。
 高度経済成長期を迎えると、福祉の課題が多く生まれました。そこで、行政だけではなくボランティアが必要ということで、各地でボランティア養成講座がさかんになり、多くのボランティア・サークルが誕生しました。しかし低成長と急激な少子高齢化によって、ボランティアだけでは足りず、企業でもボランティアでもない、お寺がかつて行っていたような民間の非営利事業組織が必要という社会になりました。
 「NPO」という言葉は、英語で「Nonprofit Organization」という非営利組織を指す言葉の頭文字をとったものです。アメリカのNPO制度を参考にし、NPOという言葉は1990年代に日本に入ってきました。

NPOは企業とボランティアの中間

 クイズの3番目は、民間は企業とボランティアだけではない、が正解です。NPOという組織の特徴は、企業の持つ事業性とボランティアの持つ社会性や自発性を併せ持った存在と言えます。NPOは無償で活動するボランティアの限界を超えることができ、その一方で儲からないことはできないという企業の限界をも超えることができます。このような民間非営利の組織は、多くの国どの時代にもあるものです。日本の場合、NPO法というかたちで90年代に改めて社会の表舞台に登場してきたのです。

営利と金儲けは違う

 クイズ4は、有償=営利か?ですが、営利とは利益分配、つまり企業が株主に配当を出すことを指します。反対に、それをしないのが非営利です。会社は株主に利益を分配することが目的なので、儲からないことはなかなか出来ません。ところがNPOは分配しないので、組織が本来行いたいことをすることが出来ます。

非営利の世界にも有償、無償がある

 民間非営利の世界でも、お金をもらわないで行う無償のボランティア活動と、一定の事業性を持つ有償の活動があります。最近では有償の活動は「コミュニティ・ビジネス」と呼ばれ、企業でも行うようになってきました。

非営利組織も公益、共益に分けられる
  • 公益:不特定多数のみんなのために行う活動
  • 共益:メンバーのために行う活動
  • 私益:自分や狭い仲間のために行う活動

 これらも非分配であれば、民間非営利活動です。NPO法人は必ず公益でなくてはなりません。無償で行う活動もありますが、基本的に有償で事業をします。

企業も公益の担い手になれる

 CSRという言葉を耳にしたことはありませんか?企業の社会的責任(CSR=Corporate Social Responsibilityの略)として、営利組織である企業も公益的な活動を行いますし、企業だからこそできることもあります。NPOの活動とも重なる部分があります。

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