NPO活動を成功させるコツ
何をするか、どこまでするか、というビジョンづくりがNPO立ち上げの出発点になります。 つまり「××な状況を○○に変えるために△△の事業を行う」場合、どの程度の活動資源(ヒト・モノ・カネ・情報など)が必要か、また個人の責任の範囲を超えて行うべきかを考えます。
具体的には、前述のとおり事務所や専従スタッフは必要か、資金はどの程度必要か、行政などとの契約行為や資産所有の可能性、対象者に対する責任や継続性などを考えた際、法人化の必要性も見えてきます。
法人化で大事なことは書類作成ではなく、何をするかを明確にし、必要な活動資源を集めることです。活動を成功させるためには、次の点(特に1~3)をしっかり取り組んでから設立総会を開くことが大切です。
1. まずよく調べ、考える
- ・関心があるテーマについて、どんな事業が考えられるか
- ・その事業は他の地域で既に行われていないか
- ・テーマに関係する行政制度やサービスの動向
- ・テーマに関係する地元の他の団体の取り組み
- ・自分が新たに取り組むだけのニーズが見込めるか
- ・どんな能力、資格を持ち、何を揃えれば事業ができるか
2. 目的を共有する「仲間」を増やす
- ・取り組みたい事業が明確になったら、仲間を集める
- ・関係する会合に出向き、事業に関心を持ってくれそうな人に説明し賛同者になってもらう
- ・何名か集まったら学習会をつくり、何ができるか話し合う
- ・学習会に講師を招き、メンバーや協力者になってもらう方法もある
- ・公開講演会や調査を行い、メディアを通じてさらに仲間を集める
- ・事業内容やNPOという組織の作り方、組織運営について共に学び、共通理解をつくる
3. 経営を担うチームと経営計画をつくる
- ・関心がある、だけでなく実際に協力できる人で3~10人程度の発起人会をつくる
- ・発起人会で、設立趣旨、規約、事業計画、予算、役員を検討する
- ・事業計画・予算については、3~5年間の中期ビジョンと併せて作成する
- ・職員を雇用するか、事務所をもつか、リスクを誰がどこまで背負うか決める
- ・経営責任を取れる人を代表にし、対外的な説明ができる人とボランティアをケアできる人、書類作成実務ができる人を置く
- ・事業開始や法人化のスケジュールを立て、検討と書類作成を行う
4. 経営資源を確保する
- ・動ける人材を必ず確保する(電話対応、各種事務手続き、情報収集、書類作成、会計など)
- ・活動場所を確保する(物販を行う場合、特に立地条件は重要。物販しない事務所の場合、人が訪問しやすい場所にする。会議スペースもあった方が良いが、活動に応じて事務所は2年くらいで移るものと考え、最初からあまり投資しない方が得策)
- ・資金を確保する(会費、私募債などで自己資金をつくる。事業を企画し、助成金も活用しながら出版、イベントなど自主事業で収入が入る商品を 開発する。情報やノウハウが商品になるようにする)
- ・情報源を確保する(相談できる人、組織)(※)
※ NPOの相談窓口として、「NPOの情報を探す方法」に掲載されているNPO関連機関をご利用ください。
5. 地域に見える事業を行い、事業を軌道に乗せる
- ・パンフレットや会報をつくり、組織や事業のことをPRしながら利用者、支援者を増やす
- ・まず、できる事業から行い、マス・メディアで紹介してもらう
- ・説明資料と実績をもとに、できるだけ外部への説明機会をつくり、賛助会員と仕事を得る
- ・地域の会合に出向き、行政や地域の動向と ニーズを探り、団体の認知度を高め、パートナーを探す
- ・ニーズを捉えた事業をどこと組んで行うかを考え、具体的な事業計画を財団や行政に提案
- ・経営管理手法を導入し組織の経営力、財政力を高める。また事業評価によりサービスの質も高める
どうすれば、本当にやりたいことに辿り着けるか
- ・こだわりたいテーマを持つ(「こういう地域だったらな」といった夢や課題意識を持つ)
- ・自分がしたいことに近い取り組みが既に行われていないか情報収集し、直接訪問する
- ・いろいろな人に直接会って話し、自分の考えについて意見を聞き、自分が確信を持てるまで考え続ける
- ・誰がサービスを利用してくれるか、どういう人の協力を得れば事業が成り立つかを考える
- ・自分が協力者に返せるもの、自分の強みを考え、強みをつくる
どうすれば、仲間と出会えるか
- ・情報や仲間、知恵袋になる人を得るために 時間とお金を投資する
- ・いろいろな人と会って話をする中で、自分が本当にしたいことや、自分が強みにできそうなことも見えてきます
- ・「私はこういう人で、こういうことがしたい!」と、まず周囲に伝えてみましょう
- ・関心事に関わるセミナーに参加し、必ず質問し、交流会にも参加し、名刺を配る、ということをしていくと、うまくいきます
- ・人前で話すのは、最初は苦手でも慣れれば楽しくなります
仲間とともに「自分たちは何がしたいか」を一緒に考え、責任を分担していくとメンバーの参加性が高まります。NPOは事業体であると同時に、市民に開かれた組織であり「運動体」でもあることを忘れないでください。 |
茨城NPOセンター・コモンズは、組織の壁・心の壁を越えて、人がつながり、ともに行動する社会を目指します。