2015年9月24日(木)時点での、茨城県常総市からの報告
皆様、ご心配や励ましのご連絡、ありがとうございます。以下は、コモンズ代表理事の横田からの第12報です。
なお、現在横田は電話での連絡が付きにくくなっています。お急ぎの方は、たすけあいセンター「JUNTOS」(090-6568-9930)までご連絡ください。なお、コモンズ代表eメール・アドレス<info@npocommons.org>にお送りいただくと、横田も事務局長の大野も同時にeメールを確認できます。
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長文お許しください。水海道森下の自宅とコモンズの状況をお伝えします。
ようやく昨日、自宅の床下の泥を公務店が除去してくれて、風呂にも入れるようになった。今日で水害発生から2週間になる。毎日があっという間。できるだけ記録に残そうと、朝に周辺の写真を撮りながら自転車で見てまわる。何人かの方と会い、私たちが17日(木)に立ち上げた、たすけあいセンター「Juntos」で機材やボランティアの支援をしていることを伝える。
連休中は、実にたくさんの方が応援に来てくれた。高圧洗浄機など片付け用の物資を貸与する班、通信をつくり避難所などに届ける班、ボランティア希望者と来てほしいお宅のマッチングをする班ができ、それぞれが自主的にたすけあいセンター「Juntos」を運営している。外国の方、障がいのある方、高校生など多様な方がともに活動し、NPOらしい、コモンズらしい空間が生まれていた。日本NPOセンターの呼びかけで、新潟、岡山、広島、大阪、神戸、横浜など各地から来てくれた支援センターの仲間が、こうした場をつくってくれた。本当に感謝。事務所もボランティアの人を受け入れやすいように、毎日環境が整備されていく。
そんな中自分は、災害FMラジオで多言語放送を流すために、3日くらい費やした。被災証明と罹災証明の違い、廃車の手続き、ごみの出し方など、自分自身が知りたいことを調べ、原稿を書き、たまたま支援物資を配っている会場で出会ったブラジル人の方に協力を依頼して、翻訳をしてもらった。水海道で本当にがんばって仲間の支援をしているブラジル人の方に声を吹き込んでもらった。それが22日(火)の18時過ぎにラジオから聞こえたとき、うれしかった。情報の格差を埋めること、後で「しまった」ということにならないようにしたい。この音源をWebに載せれば、かなりのブラジルの方に伝わるはずだ。同じ内容でスペイン語や英語でもつくる。
(注)ここから視聴可能になりました。
そして2回目の内容も原稿を書く。罹災によって全壊や大きな被害を受けた人には、住宅の修理代が出る、ということで週末その説明会が開かれるが、その内容をわかりやすく伝える必要がある。持ち家でないといけない(コモンズ事務所は床上1メートルはあったはずだが対象外)。住民票がなかった人も住んでいた証明が必要になる。工事もどこまでが対象になるのか・・・。調べ、伝えるべきことはたくさんある。ラジオを聴いてもらえるようにするのも課題だ。
22日(火)は、ボランティアの方に『Juntos通信』を北水海道駅周辺のお宅にポスティングしていただいた。そのおかげか、夜に駅前で初めて行われた炊き出しには100名近い方が来てくれた。家族も中華丼をいただいた。お湯が出ず、2階で暮らしている方などは、暖かい料理をつくったり、食べることが難しい。お風呂に入りたい、という声も聞かれた。避難所だけでなく、家で不便な暮らしをしている人にも支援が届くようになってほしい。
支援物資が集まる体育館にも出向いた。服、タオル、ごみ袋、おむつ、マスク、毛布、携帯トイレ、ゴム手袋、洗剤などは多くあったが、台所で使うような日用品や掃除道具、ウェット・ティッシュ、ラジオ、水を入れる携帯できるタンクはやはりあまりなかった。これらを集めたり、購入して配りたい。会場でボランティアをしている人に聞くと、男性の靴がない、とのことだった。自分も靴下がなかったが、仲間が差し入れしてくれた。皆野菜を食べていないので、ビタミンになるものが必要だと思う。元同僚が届けてくれたキウイはおいしかった。あれほど減らなかった体重が5キロ近く減った。喜んで良いのか。
21日(月)は、かつての同僚が手伝いに来てくれた。その人たちや、神戸や広島から来てくれた仲間が、家の隣にある妻の実家の粗大ゴミの取り出しを手伝ってくれた。森下公園に持ち込むのは心が痛んだが、そうせざるを得なかった。
皆4カ所ある粗大ゴミの仮置き場に持って行くのが大変なので(搬入に時間がかかると聞いている)、公園や空き地が実質的に仮置き場になっている。ごみの回収は徐々に進み、きれいになった通りもあるが、未だに袋が山積みの通りも多い。埃や臭いが気になる。
避難所に関する動きがこの数日多かった。一気に浸水が広がり、市役所も水没と電源喪失でダメージを受け、対応が遅れてしまった避難所の環境改善が課題になっている。外部から入った団体のアドバイスもあったためか、知人のところは昨日は段ボール・ベッドになっていた。心配なのは、長引く避難所生活で体調を崩している方が少なくないことだ。ホテルを借り上げ、移れるようにするなどの対応もあって良いと思う。避難所間で生活環境や炊き出しの回数などもかなり差があるようで、連日行政の方々と県外から入られたNPO関係者で、避難所の方々のケアについて話している。
学校再開に伴い、統廃合が進むが、心配なことがある。お風呂があるなど環境が良い避難所に移れるのは良いが、そうすると家の片付けとか仕事に行くのが不便になる人がいる。統廃合とか借り上げ住宅を用意する際、多くの人が車をなくしているので、移動のことを考える必要がある。まだ家の片付けが終わっていない人がいるが、連休中も休めなかった人がいる。ブラジル人の方も、避難所から工場に通っている人が多いし、市役所の方々も自分の家の片付けになかなか戻れないようだ。
やはり圧倒的に人が足りない。市役所にはもっと市外からの応援がないと、ごみの処理も市役所機能の復旧も遅れてしまう。連休が終わり、ボランティアも減ってしまうが、まだまだ家の片付けは荷物を出したところ、というところが多い。畳を捨てた人は、地面を乾燥させている途中なので、家の掃除はこれからだ。家に戻れた人も、皆疲れている。事業者は個人宅と違って補償が少なく、途方に暮れている。それぞれの家によって悩みごとも違う。道路のごみがなくなったとしても、それは表面的なことで、課題は残る。失われたものが大きく、元の生活に戻るにはかなりの時間がかかるだろう。
継続してボランティアを派遣したり、様々な相談に乗れるようにするには、体制をつくる必要がある。今回県外から救援に入ってくださった団体も、徐々に離れることになる。高齢者世帯、母子世帯、障がいを持つお子さんのいる世帯、外国の方など、元々ハンディがあった方々が、災害でさらに厳しい状況に置かれている。子どもたちも不自由な環境で耐えている。
常総市に通って来られる範囲の方で、様々なニーズを持った人を個別に支えたり、住民同士が協力して立ち上がっていくのを側面的に支える、そういう活動をコモンズは増やし、コーディネートしていきたい。地域の課題を調べ、発信したり、応援したい人やグループとつないだり、本当に必要なものの購入や資金提供に寄付をつないだり、今後重要な情報が流れるようにしたい。
いばらき未来基金は、このようなときにコミュニティの課題解決を支えるためにつくった仕組みでもあります。これら拠点や活動支援の仕組みを動かしていくには、運営を手伝っていただける方が不可欠です。1日でも2日でも、運営スタッフとして来ていただけると本当に助かります。常総はまだまだ大変な状況です。ご支援をお願いします。
茨城NPOセンター・コモンズは、組織の壁・心の壁を越えて、人がつながり、ともに行動する社会を目指します。