いばらき未来基金第3回テーマ助成 「アドボカシー助成 ~市民による調査・提言活動を応援~」
この助成事業の背景、課題となっている社会状況
NPOなど市民活動団体は、地域の様々な福祉課題、生活課題などを抱える当事者に日々向き合っています。そういった市民活動団体だからこそ、社会全体でまだ十分に共有、可視化、社会問題化されていない課題に気づいていたり、既に社会問題となっている分野の中でも、まだ見過ごされがちな部分に焦点を当てて活動を行っています。
その見えにくい課題を発信し、解決策などを提示し、市民の参加や他の組織の協力を得て活動に取り組み、市民の意識や価値観、社会のあり方を変えることこそが、本来の草の根の市民活動団体の役割であり、活気ある市民社会をかたちづくる上で重要な要素だと考えています。市民活動団体には、課題当事者の声なき声を代弁し、発信するシンクタンク機能が必要と考えます。
ところが、NPO法人など市民活動団体の事業化が近年さらに進み、市民の参加や運動性が落ちていると感じます。寄付やボランティアなどによる市民活動団体への市民参加が減少し、市民活動団体もそういった参加を呼びかける意欲が減退しているように見受けられます。
例えば、茨城県内のNPO法人の中で、2016年度に1円も寄付を集めなかった団体は、なんと全体の半数を超えます。(注1)寄付やボランティアなどの市民参加がないということは、行政の制度の網からこぼれ落ちてしまう社会的課題が、市民の力によって解決されないままとなることを意味します。
(注1)認定NPO法人 茨城NPOセンター・コモンズ(2018年7月)『2016年度茨城県内NPO法人財務調査報告書』
サービスや製品の対価によって組織運営する、事業性が強いソーシャルビジネスばかりが注目されている現在の状況、また休眠預金活用によって事業性の強い大型の法人ばかりに資金が流れるようになると、さらに上記の傾向が強まるでしょう。
活動規模が小さくても、市民のお困りごとに地道に、丁寧に寄りそい、多様な市民の参加を募る草の根の市民活動を支えることが、今こそ必要であると考えます。市民や組織からの寄付を仲介するいばらき未来基金だからこそ、市民の共感や参加につながる活動を応援したいと思います。
目 的
茨城県内の草の根の市民活動団体によるアドボカシー活動を広く支えることで、活気ある市民社会を茨城に創造することにつなげます。
いばらき未来基金とは
いばらき未来基金は、茨城の未来をつくり、市民の生活を支え、地域のつながりを育む様々な市民活動と、それらを応援したい市民や企業などをつなぐ、茨城のための市民コミュニティ基金です。企業やNPO、労働組合、農協、生協、メディア、大学などからなる運営委員が連携し、認定NPO法人 茨城NPOセンター・コモンズに事務局を設置し、2012年から運営しています。
市民が地域課題解決の主体となること、また多様な組織の連携による地域課題の解決を推進し、いばらきの未来づくりにつながる活動を応援することを目的としています。
財 源
いばらき未来基金の3つのテーマに賛同した市民や団体からのご寄付を原資として助成します。
助成金額
総額100万円(1団体あたり10~30万円程度を想定)
助成件数
上記助成総額の範囲内で、助成対象として適切な活動の申請金額合計に応じて決定します。
助成対象となる活動の種類
以下の活動テーマに関連し、その発展やさらなる市民参加につながる以下のアドボカシー活動
※ 以下の活動テーマそのものを助成するのではなく、その活動テーマのための調査・提言活動に助成します。
※ 以下の複数の活動の組み合わせが望ましいです。
- 課題当事者やその関係者などを対象とした調査活動(書面アンケートやヒアリングなど手法は問わない)
- 他地域の先進事例の視察や調査活動
- 上記調査結果をもとにした報告書の作成及び発行
- 上記調査結果をもとにした報告会や学習会の開催
- 上記調査結果をもとに、マスメディアなどを通じた市民や社会への発信、提言
- 地方議会や議員、行政などへの政策提言活動(ロビイング)や、説明会、勉強会の開催
- 調査結果を踏まえた関係者の意見調整や合意形成のための活動(地域円卓会議の開催など)
- その他の調査・提言活動 など
助成対象となる調査
- 現在支援している、またはこれから支援しようと検討している課題当事者や、その支援者などの声を拾う実態調査
- 上記の社会課題が発生する要因や背景などの分析、問題構造の把握のための調査
- 新たな社会的サービスや製品を開発したり、活動を企画立案するためのマーケティング調査(市場調査)及び事業計画策定
- 現在取り組んでいるサービスの有効性の評価や、そのサービスの課題を可視化するための調査
- 潜在的関係者との関係構築のためのヒアリング調査
- 関係者による組織評価 など
助成対象となる活動のテーマ
テーマ
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内 容
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活動例(注2)
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テーマ1:共に生きる未来
~誰もが安心して暮らせる地域づくり~ |
災害や不況で家や仕事をなくしたり、家族が離れ離れになったり、風評被害に遭いながらも、前を向いて動こうとする人によりそい、応援する活動があります。日本語が話せない、子どもの世話が大変など、事情があって仕事の機会が限られる人のための支援活動があります。ひきこもりや無縁社会といった現象は、誰もが直面するかもしれない問題です。行政の支援が届かない新たな福祉問題に取り組む活動や、孤立しがちな人のコミュニティづくりなど、共に生きる社会を目指す活動を支援します。
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人々の自立やコミュニティをつくる活動
・ 災害で苦労した人と共に生きる活動 ・ 就労しにくい人の仕事や職場づくり ・ 悩んでいる人や家族を支える活動 ・ ひとり親世帯や単身世帯を応援する活動 ・ 情報・移動・制度・心のバリアを取り除く活動 ・ 社会課題への関心・理解を深める活動 ・ 課題を抱えた方の自助グループづくり ・ 排除されがちな人のセーフティ・ネットづくり |
テーマ2:未来世代と持続可能性
~未来の担い手やライフスタイルづくり~ |
経済のグローバル化で、学校では外国とつながる子どもが増え、高校進学が課題になっています。格差が広がり、塾に行けない子どもたちも増えています。次世代を担う子どもたちが進学や将来の夢をあきらめなくてすむように、学びを支援することは、未来への投資です。また、自然エネルギーの普及や乗り物を共有する仕組みづくりなど、持続可能な生活環境をつくるための活動も地域の未来をつくることにつながります。地域の未来を明るくする人や技術が育つよう、夢や希望を本物の可能性に変える活動を支援します。
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いばらきの未来を創る活動
・ 子どもの貧困や、学習支援に関する活動 ・ 外国とつながる子どもへの支援 ・ 若者の進路を拓くキャリア教育 ・ ESD(参加型の学習とまちづくり)のプログラム ・ 食の安全や農業を支える活動 ・ 自然エネルギーの普及 ・ 自然や環境を次世代に残す活動 ・ 地域での資源循環や持続可能な暮らしを広げる活動 |
テーマ3:地域資源の再活用 ~知恵と交流で未来をつくる~ |
社会の変化によって、地域にある大事な場所、風景、建物、人のつながり、文化が失われつつあります。限界集落に若者が入って村を残す活動、古い蔵や民家、廃校や公共施設などを改装して次世代に残す活動、商店街や団地の中に人が集う場や小さな福祉拠点をつくる活動など、地域の資源と課題を組み合わせて新たな価値や公共空間を生み出す活動があります。立場や地域を超えて人が交流したり、知恵を出しあって、未来につながる課題解決に取り組むプロジェクトや、地域円卓会議の開催を支援します。
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地域のつながりを育む活動
・ 民家や施設を開いた居場所づくり ・ 団地の高齢化対策 ・ 地域資源を生かしたタウンミュージアム ・ 地域を紹介する情報の発信 ・ 地域や世代を超えた交流企画 ・ 都市と農村の暮らしをつなげる活動 ・ 企業とNPOなど異業種による協働実験 ・ つなぐ人材の育成に関する活動 |
(注2)自分たちの活動がテーマに該当するかどうか不明な場合、ご遠慮なくお問い合わせください。
助成対象となる団体
- 茨城県内で継続的に活動に取り組む、情報発信に積極的な、民間の非営利活動団体。
- 事務所所在地が茨城県内になくても、活動場所が県内であれば申請可能です。
- 法人格の有無は問いません。
- 政治(選挙に関わること)や宗教を主目的とする組織は対象としません。
資金支援以外の支援
いばらき未来基金を運営する認定NPO法人 茨城NPOセンター・コモンズによる組織運営の助言や、助成対象となった活動の成果を高めるための支援を受けられます。
※ 専門的な相談内容の場合、相談料が発生する場合があります。
対象経費
人件費や間接経費も含め、対象経費に制限はありません。ただし、助成期間終了後の活動の持続可能性を考慮して、対象経費の配分も含め審査の対象となります。
※ 申請する特定の活動に対する助成であり、組織への包括的補助ではありません。
助成割合
10/10
※ 行事を開催する際の受取参加費や、助成金を原資に発行した冊子の販売収益など、助成金以外の自主財源となる収益を得て構いません。活動の持続可能性を考慮すると、自主財源の拡大は重要です。
スケジュール(予定)
日 程
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内 容
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2019年1月18日(金)~3月10日(日) ※ 当日消印有効 |
助成申請受付 |
2019年3月下旬 | 審査会開催 |
2019年4月上旬 | 書面にて助成決定通知 |
2019年4月下旬 | 助成金贈呈式開催、助成金振込 |
2019年5月1日(水)~2020年3月15日(日) | 活動実施 ※ 助成金事務局などの現地ヒアリングを予定。 |
活動終了後1か月以内もしくは2020年3月31日(火)のいずれか早い日まで | 報告書類提出 |
選考方法
いばらき未来基金運営委員会が設ける審査会にて、書類審査。
選考基準
- 地域課題の解決や新たな価値創造に明確に結びつくか
- 新たな居場所と出番は増えそうか(多様な世代の参加など)
- 市民の共感と参加を得やすいか
- 他の組織のモデルとなるか
- 活動の実現可能性
- 助成金の使途は適切か
- 助成によって活動基盤や地域とのつながりが強化されるか
助成金の支払い方法
ご指定の団体口座に、一括で銀行振込を行います。
※ 個人口座へのお振込みはできませんので、ご了承ください。
活動報告
- ご負担にならない範囲で、活動実施状況を随時ご報告ください。
- A4で2ページ程度の書式に、活動写真とともに簡単な報告をいただきます。何を行ったかではなく、どのような成果につながったかを重視します。
- アドボカシー活動という、短期的な成果が可視化されにくい活動に助成しますので、具体的な成果ばかりを求めるものではありません。
- 領収書コピーの送付などは不要です。
申請方法
以下の書類を、申請窓口までeメールまたは郵送。
- 2ページ程度の申請書(書式のダウンロードはこちらをクリック!)
- 予算書(書式のダウンロードはこちらをクリック!)
- 最新の事業報告書及び財務諸表
- 必要に応じ、その他参考となる資料(団体パンフレットや会報、新聞記事など)
※ eメールで申請される場合、申請書類が確かに受信されたかどうかを、電話などで別途ご確認ください。
※ 一般的な助成事業と異なり、審査前のコーディネートを事務局が行います。できれば本申請前に申請書案をぜひ事務局にお送りください。一緒に良い活動企画を練り上げましょう。
※ 申請された活動趣旨は評価されたものの、計画などをさらに検討する必要性が認められた場合、申請書や予算書の再修正をお願いすることがあります。
申請窓口、お問い合わせ
いばらき未来基金事務局(認定NPO法人 茨城NPOセンター・コモンズ)
事務局長 大野 覚
〒310-0022
茨城県水戸市梅香二丁目1番39号 茨城県労働福祉会館2階
電話:029-300-4321
FAX:029-300-4320
eメール:office@ibaraki-mirai.org
ご参加ください
本助成事業と関連し、以下のとおりセミナーを開催します。ぜひご参加ください。
行事名
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2018年度水戸市協働推進研修「NPO組織基盤・運営力アップセミナー ~地域の課題を調べ、発信して、組織の力を高めよう~」 |
日 時
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2019年1月26日(土)13:30~16:30 |
会 場
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水戸市役所 2階 市民協働会議室こみっとルーム(水戸市中央1丁目4番1号) |
内 容
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事例をもとに、以下の点を学びます。 ・ 調査に関する全体概要 ・ なぜ調査するのか(調査によって何をどう変えるか) ・ 既にあるデータの探し方(「水戸市オープンデータライブラリ」などの活用方法) ・ どのように調査するのか(アンケートなど) ・ 調査の対象は誰か ・ 集めたデータをどのようにまとめるのか(グラフ、報告書、白書の作成) ・ 集めたデータをどのように発信するのか(報告書の発送、SNSやウェブサイト、新聞各社へのプレス・リリースなど) ・ 地域の課題調査設計ワークシートの記入と、グループワーク ・ 市民活動団体の調査活動を支える助成金情報 など |
話題提供者
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認定NPO法人 茨城NPOセンター・コモンズ 事務局長・いばらき未来基金事務局担当 大野 覚 |
参加費
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無料! |
主 催
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水戸市(市民協働部 市民生活課 及び 市長公室 情報政策課) |
お申し込み
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上記の茨城NPOセンター・コモンズまで、団体名、氏名、連絡先などを伝える。 |
茨城NPOセンター・コモンズは、組織の壁・心の壁を越えて、人がつながり、ともに行動する社会を目指します。